大洞院の弁財天
弁財天は、人の穢(けがれ)を払い、富貴・名誉・福寿・食物と勇気、愛嬌・縁結びの徳、さらに子孫を恵むと言われ、そのうえ、学問と芸道、知恵と雄弁を与えるという結構尽くめのご利益があると言われ、信仰されてきました。
 弁財天像には金剛明経で説くところの八臀(はちでん:八本の腕) 弁財天と、天台宗、真言宗で説くところの二臀(二本の腕)の弁財天があります。鎌倉時代には宇賀神信仰を吸収して頭上に宇賀神の顔と鳥居を付しています。

 大洞院の弁財天は、全高21センチメートルの彩色塑像(さいしきそぞう)であり、頭上に宇賀神と鳥居があり、八本の腕には鉾(ほこ)、宝珠(ほうじゅ)、宝蔵のカギなどを持っており、福徳、財宝に対する性格が強くあり、室町時代以降の作であろうと考えられます。
 この弁財天像は、室町時代から江戸時代初期の間、大洞院の本尊であったという口伝が残されてますが、弁財天像の制作された時期の記録がありません。
 旧弁天堂の棟札には、江戸時代の元治元年(1864)に再建した記載があり、旧弁天堂に取り付けられていた鰐口は天保10年(1839)に寄進されています。


弁財天
才能jをのびのび生かす
暮らしに困らないように
 現在、この鰐口(わにぐち)は新弁天堂に取り付けられ、いまも天保時代の音を響かせています。現在の弁天堂は、平成10年(1998)10月に落慶法要が挙行され、当日は紅白の幕が張られ稚児行列も催されました。

元治元年(1864)建立の弁天堂

平成10年(1998)建立の弁天堂