令和2年  文月     
住職のつぶやき
           花井山 大洞院 三十一世住職 櫻井大文

 然(しか)あれば誠心(じょうしん)を専(もっぱ)らにして前仏に懺悔(さんげ)すべし、恁麼(いんも)するとき前仏懺悔(ぜんぶつさんげ)の功徳力(くどくりき)我を拯(すく)いて清浄(しょうじょう)ならしむ、此功徳能(このくどくりきよ)く無礙(むげ)の浄信精進(じょうしんしょうじん)を生長(しょうちょう)せしむるなり、浄信一現(じょうしんいちげん)するとき、自他同じく転ぜらるるなり、其利益(そのりやく)普(あま)ねく情非情(じょうひじょう)に蒙(こう)ぶらしむ。

                           (修証義第2章第八節)

 仏様の慈悲は広大無辺です。誠心誠意から今迄の行いを悔い改めれば心が清らかになり、清らかな心の安らぎは増して、その御利益は広く万物に行き渡ります。
お寺の本堂、自宅の仏壇、故人の眠る墓前などで手を合わせて感謝するとともに日頃の行いを省みれば、心が安らかとなって新たなエネルギーで満たされるのを感ずることでしょう。
 さて、故人や先祖の供養をするお盆の頃合いとなりました。大切な方が亡くなり初めてのお盆を迎える方も多くいます。もう少し何かしてあげたかったと想うこともあるかと思います。その中で出来ることの一つに故人の位牌のある仏壇、故人の眠る墓前に手を合わせることがあります。
 祖父母が仏壇の前で「ご先祖様のおかげで、いまがある。『ありがとう』と言ってお参りしよう」と手を合わせる姿を、見て育った方もいると思います。日常生活の中で、先祖供養の風習を学び、足りないところは叔父伯母などの親戚が補ってくれました。お盆には、盆飾りを手伝った人もいると思います。
 しかし、核家族化の進んだ現在は、先祖供養の風習が十分伝承されず、仏壇の準備がまだの家もあります。そういった状況でも「新盆はしっかりと努めたいのです」とのお話をお聞きします。これは、まさに先祖・両親から受け継いだ信仰心の現れでしょう。
 お盆の時節です。あの世に旅立った御霊が家族・親族の元に戻ってきます。真心を込めた盆飾りと故人の好物をお供えしてご供養しましょう。これは、その家に代々引き継がれた先祖供養の信仰心です。
 これからもご先祖様は、笑顔で皆様をお守りくださいます。 心優しく御霊のお迎えを致しましょう。