平成28年
新年を迎えるにあたって
花井山 大洞院 三十一世住職 櫻井大文
清々しい春をお迎えいたしました。新年おめでとうございます。昨年の春に比べて今年の正月は暖かいですね。
私が勤務している東北福祉大学の学長萩野浩基先生が昨年七十五歳で亡くなられました。先生は社会に「福祉」という言葉があまり浸透していない時代から「今後の社会には福祉が必要です。社会福祉とは、ゆりかごから墓場まで、赤ちゃんからお年寄りまで人が人として幸せな社会であり、そういう社会を作っていかなければならない」と四十数年前からお話しされていました。
また先生は、道元禅師の言葉を使い、よく講義をされていました。
「然れば、明日死に、今夜死ぬべしと思い、あさましき事に逢うたる思いをなして切にはげみ、志をすすむるに、悟りを得ずという事なきなり。」
人の命はいつ終わりが来るか分りません。それなのに志もなく、ただ今を正しくいきるという事だけではお釈迦様の幸せの教えを体得できません。志をしっかり持ち、余計な私利私欲は捨てて、今日できることをしっかり行う事こそが必要であると。欲望(物質的)、怒り(自分に無いものに対しての恐れ)、無知(正しい見かた・正しい理解ができない)により私たちの心は乱れてしまいます。そんな時は、坐禅をしたり、お経を唱えましょう。
お寺は心の落ち着く場所です。正月・春秋の彼岸、夏の施食・盆供養、回忌法要、お墓参りや散歩の途中、いつでも気楽にお寄りくださり、玄関内のフロアーでお茶でも飲んで休んで行って下さい。それが今を生きている証です。
月命日にお檀家宅にお参りして読経する「月参り」も行いますので、希望の方はお寺に相談してください。
大慈大文 九拝
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平成28年 曹洞宗宝暦のことば
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人のさとりを罣礙(けいげ)せざること、滴露の天月を罣礙せざるがごとし。
ふかきことはたかき分量なるべし。時節の長短は、
大水小水を検点(けんてん)し、天月の広狭を辧取(はんしゅ)すべし
現成公按(げんじょうこうあん) |
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「ひとのさとりをさまたげることは、露に天の月が映るのをさまたげるくらい無理なこと。いつどのような、さとりを得るかは誰にも分らないが、どのようなさとりを得たいかどうかはよく考えて修行しなさい。」
普段、お寺にお参りし、お経を一緒にお唱えすることによって、様々な形で皆さんはお釈迦様の教えを体現しています。今は亡き大切な御霊を「ご供養する」ということが一つの修行になっています。子孫繁栄・諸縁吉祥。ご供養の輪を切らぬようこれからもお寺と一緒に勤めていきましょう。
花井山 大洞院 三十一世住職 櫻井 大文 合掌 |
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